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2017年09月20日
国税不服審判所 裁決事例 評価単位 平成25年10月1日裁決 名裁(諸)平25第13号 争点2

争点2

本件土地の評価単位について、1画地又は2画地いずれの宅地として評価すべきか。

 

【原処分庁の主張】

 

本件土地は、次のとおり、本件主建物の敷地部分と本件附属建物の敷地部分とを区分する必要はなく、1画地の宅地として評価すべきである。

 

イ 本件家屋については、登記簿上、本件主建物は「共同住宅」と記載され、本件附属建物は「店舗・共同住宅」と記載されていることから、本件附属建物が効用上、本件主建物と一体のものとして利用される状態にあるとする登記がされている。

 

ロ 本件土地が所在する地域の住宅地図では、共同住宅である本件主建物と店舗・共同住宅である本件附属建物は接している。

 

ハ 請求人■■■及び本件被相続人は、本件家屋を共同住宅及び店舗として賃貸していたことから、本件土地を1画地として利用しており、さらに、請求人らは、本件相続に係る相続税の申告において、本件土地を1画地の宅地として評価している。

 

 

【請求人の主張】

 

本件家屋は、住居部分である本件主建物と店舗部分である本件附属建物とが独立して建っていた貸付用の建物2棟であることから、本件土地は、別図1のとおり、本件主建物の敷地部分と本件附属建物の敷地部分とを区分して、2画地の宅地としてそれぞれ評価すべきである。

 

 

【国税不服審判所の判断】

 

イ 法令解釈等

 

評価通達7-2の(1)は、宅地の価額の評価については、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地)を評価単位とする旨を定めているところ、課税実務上、評価通達7-2の(1)の定める「1画地の宅地」とは、その宅地を取得した者が、その宅地を使用、収益及び処分をすることができる利用単位又は処分単位であって、原則として、①宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利(原則として使用貸借による使用借権を除く。)の存在の有無により区分し、②他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分することとされている。

課税実務上、このように取り扱うのは、宅地の評価単位の判定は、宅地の時価を評価するために行うものであり、上記(1)のイの(イ)のとおり、時価とは客観的交換価値をいうものであることからすれば、宅地の時価を評価するためには、評価対象となる宅地の価額に影響を与える全ての客観的な諸事情を考慮すべきであるから、その宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利等、その宅地の使用、収益及び処分に影響を与える全ての客観的な諸事情を考慮すべきことによるものと解され、当審判所においても、この取扱いは、相当と認められる。

 

ロ 認定事実

 

請求人ら提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。

 

(イ) 本件家屋の配置等及び敷地の状況

 

昭和51年12月29日付の本件家屋の建築工事請負契約書に添付された設計図書(配置図)によれば、本件家屋の配置等の概要は、別図2のとおりであり、その後、増築等を行った事実は認められないことからすれば、本件相続開始日において、本件主建物と本件附属建物は別棟で接しておらず、本件主建物は共同住宅として、本件附属建物は店舗付住宅として、それぞれ独立して機能する建物であった。

 

(ロ) 本件家屋の賃貸状況等

 

本件主建物は6戸の共同住宅、本件附属建物は2戸の店舗付住宅であり、それぞれ賃貸借契約に基づき、第三者に対して継続的に貸し付けられていた。そして、本件相続開始日においても、本件主建物は、賃貸借契約に基づき、第三者に対して貸し付けられており、本件附属建物も、賃貸借契約に基づき、本件主建物の賃借入とは別の第三者に対して貸し付けられていた。

 

ハ 本件への当てはめ

 

(イ) 上記イのとおり、宅地の価額は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地)ごとに評価することとされており、その1画地の宅地の判定は、原則として、①宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利(原則として使用貸借による使用借権を除く。)の存在の有無により区分し、②他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分して行うものと解されるところ、上記ロの(イ)のとおり、本件主建物及び本件附属建物は別棟で接しておらず、それぞれが独立して機能する建物であったと認められ、また、上記ロの(ロ)のとおり、本件主建物は共同住宅として、本件附属建物は店舗付住宅として、それぞれ別の第三者に貸し付けられていたものであることから、本件土地上の本件主建物及び本件附属建物には、それぞれ異なる第三者の権利が存在していたものと認められる。

以上のとおり、評価通達7-2の(1)の定めによれば、本件土地については、本件主建物の敷地部分と本件附属建物の敷地部分とが別の利用の単位と認められることから、請求人の主張のとおり別図1に基づき、2画地の宅地として評価するのが相当である。

 

(ロ) この点について、原処分庁は、①本件附属建物が効用上、本件主建物と一体のものとして利用される状態にあるとする登記がされていること、②住宅地図では、本件主建物と本件附属建物が接していること、③請求人■■■及び、本件被相続人は、本件家屋を共同住宅及び店舗として賃貸し、本件土地を1画地として利用しており、さらに、請求人らは、本件相続に係る相続税の申告において、本件土地を1画地の宅地として評価していることから、本件土地は1画地の宅地として評価すべきである旨主張する。

しかしながら、上記(イ)のとおり、本件相続開始日において、本件主建物及び本件附属建物は、別棟で接しておらず、それぞれ独立して機能する建物として区分して利用されていたと認められるから、①登記簿において「主」 及び「附属」の関係であること、並びに②住宅地図において本件主建物及び本件附属建物が接していることは、いずれも本件土地を2画地の宅地として評価すべきとの判断に影響する事情とはいえない。また、③については、上記(イ)のとおり、本件主建物は共同住宅として、本件附属建物は店舗付住宅として、それぞれ別の第三者に貸し付けられており、それぞれの建物の敷地として独立して利用されていたものと認められるから、1画地として利用されていたとは認められない上、請求人らが本件相続に係る相続税の申告において本件土地を1画地の宅地として評価していたとしても、そのことが直ちに1画地の宅地として評価すべき理由にならないことは明らかである。

したがって、この点に関する原処分庁の主張にはいずれも理由がない。